実践研究所 副所長の松浦です。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
去る3月6日に、大阪市の家庭児童相談員の方々向けの研修にお招きいただきました。
テーマは「不登校支援と現場での関わりについて」。
模擬事例をもとに、どのように支援を考えていくのかという事例検討をメインに、研修を行いました。
小中学校の不登校の児童生徒数は全国で14万人をこえています(平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より)。
中学生はここ数年10万人前後で推移しているのですが、小学生は平成29年度は3万5千人を越え、ここ数年は増加傾向にあります。
各自治体には適応指導教室等があり、学校復帰も含めた支援を進めているところではありますが、小学生の子どもたちにとっては校区外に適応指導教室があるなどの理由から、なかなか利用が難しい場合もあるようです。
実際、家庭児童相談員の皆さんも頭を悩ませているのが、小学生とくに低学年の不登校児童についてのようでした。
さて、不登校とは年間で30日以上の欠席(病気や経済的理由を除く)をする状態ですが、先の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を見ると、小学1年生で1,692人、2年生で2,714人、3年生で4,437人となっています。
そのうち、90日以上欠席しているのはそれぞれ、508人、993人、1,747人となっています。
学校の出席すべき日数をおよそ200日だと考えた時に、不登校と言われる6~7割の児童は出席すべき日数の半分以上は出席しているということになります。
つまり、「全く学校に行けていない」というよりは「週2~3日休みながら」学校に通っている子どもが低学年の場合は6~7割くらいいるということです。
あくまで統計上のことだけですので、2学期の途中から学校に来れなくなったという児童もいるでしょうが、学校に行ったり、行けなかったりという児童も相当数いると思われます。
適応指導教室は学校に行きづらい児童生徒が、通所する教室ですが、先述のように、「学校に行けたり行けなかったりする」児童生徒にとっては、学校の中に、教室以外のホッとできる空間があることが必要なのではないかとも思います。
保健室や相談室がその機能となることもあるでしょうが、より敷居が低く、ふらっと立ち寄れる居場所が小中学校の中にあることで、学校に通い続けることができる児童生徒は増えるのではないかと考えます。
このあたりの「校内居場所」の在り方や可能性については今後も研究を深めていければと思います。