み・らいず2

研究ノート

| 大阪大谷大学の演習において-中学校へスムーズに進学するために―

先日、大阪大谷大学の「課題・解決演習(子ども編)」という授業のお手伝いに行かせてもらいました。

この演習では学生さんたちの「考える」という力を養うために、現代の子どもの課題について検討し、その解決のためのイベント企画をするということを行います。毎年、み・らいずではこの演習において、子どもの状況についての紹介や企画立案に関するアドバイスをさせてもらっています。
最終日には学生さんたちの企画したイベントのプレゼンテーションをお聞きするのですが、学生さんたちの様々なアイデアに触れ、私も刺激を受けています。

今回はその企画の中において、小学校高学年のお子さんに対して、中学校へスムーズに進学するために、事前にほかの小学校の生徒や進学先の中学生や教員と接点を持つことを目的とした野外活動企画というものがありました。この視点は重要な示唆があるのではないかと思いました。

| 小学生から中学生にあがるタイミングの予防的サポートの必要性

毎年発表されている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に学年別不登校児童生徒数というものがあります。学年が上がるごとにその数は増えるのですが、なかでも小学6年生と中学1年生のその数はおよそ2倍から3倍程度になっています。

これは「中1ギャップ」とも呼ばれる小学校から中学校に進学する際の様々な変化(学級担任制から教科担任制への変化、定期試験の実施、複数小学校からの進学等)が要因としてあると言われていたりもします。
また、中学生の不登校の要因として「学校における人間関係」に課題を抱えていると思われるケースは全国に2万人ほどいるとみられており、小学校から中学校への進学に向けて生徒同士の人間関係はもちろん、教職員との人間関係構築に時間をかけていくことは有意義であると思います。

繰り返しになりますが、小学校の時に不登校ではなかった子どもが中学校に進学してから不登校になる子が多くいます。不登校状態が前年度から継続している状態にある、つまり小学6年生の時に不登校だった子がそのまま不登校状態を継続しているというのは中学1年生の不登校のうち、およそ3割程度です。残りの7割は中学進学以降に不登校になっています。
また、不登校状態が前年度から継続する割合は小学生よりも中学生の方が高い傾向にもあります。これらのことからも小学生から中学生になるタイミングで予防的なサポートをしていく意義はあると考えられます。

| これからの不登校支援

 ここまで小学校から中学校に進学するタイミングでのサポートの必要性について述べきましたが「不登校」は決して問題行動なのではありません。平成30年度の小中学生の不登校状態にある児童生徒数は16万人を越えました。平成28年には「教育機会確保法」ができ、学校以外の学びの場を推進していく動きもでてきています。ここ数年の不登校児童生徒数の増加はその法律があったからという見方もできるかもしれません。

教育機会確保法以降、不登校支援においては「不登校という状況が悪い。学校に戻そう」ではなく、「再登校も含めながらも、学校以外の子どもの学びの機会を作っていこう」ということになりました。このことは文科省も「不登校児童生徒への支援の在り方について」として先日改めて通知を出したところです。

とはいえ、不登校に関する問題はその学びの機会を提供する資源がまだまだ十分ではないというところです。我々も大阪市からの委託を受け、不登校児童通所事業を行っていますが、出会っている子どもたちの数はそれほど多くはありません。通所事業を利用するまでにもいくつかのハードルがあり、学びたくても学べない子どももいることが予測されます。

 学校に行きたいと思っている子どもが行けるように、学校に行きたくないと思った子どもが学校以外の場を確保できるように。当法人でも子どもたちのそれらの選択を全力でサポートできるような実践を行っていければと思います。(松浦 宏樹)

1 2 3 11
採用情報 ページの先頭までスクロール